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デイサービスもみの木児童発達支援を利用して

Hの母

UPDATE:2016-12-16

息子が発達障害と指摘されたのは、2歳3ヶ月頃でした。

生後半年になる妹の赤ちゃん相談に付き添って行っていた時に、おもちゃへのこだわりで癇癪を起こす姿を見て保健師さんから「息子さん手がかからない?一度市で行われている心の相談に来て、発達の専門の先生に診てもらいませんか?」と声をかけれられました。その時は「やっぱりか」という思いと、「違っていてほしい」と願いたい気持ちと複雑な気持ちでした。

息子は赤ちゃんの時からよく笑ったり、喃語も出ていてコミュニケーションも取れているような気がしていたのですが、ただいつも目線が合わない、いつもソワソワと動き回っている、膝に座っていられない、そして一番は泣き出したら反り返り、1時間でもずっと泣き続ける等、母として気になる部分はありました。

1ヶ月後、市で行われている心と体の相談で専門の先生に様子を見てもらうと、すぐに「何らかの発達障害ですね。何の発達障害かはっきり分かる為に発達検査を受けて、成長を持ち上げる為に療育を受けてください。」と淡々と伝えられ、何があっても息子の為に受け止める覚悟で行っていたのに、受け止めきれない気持ち、これからの不安な気持ちで涙が止まりませんでした。

その後、発達検査を受ける病院を紹介してもらいましたが、発達検査を受けるまでは家庭で過ごしてくださいとのこと。正直、今すぐにでも発達検査を受けて療育を受けたい!という気持ちでいっぱいでしたが、現実は予約がいっぱいで、8ヶ月待ちとのこと。家庭で息子の為に出来ることは?と聞くと、「しっかり一緒に遊んであげてください。生活リズムを整えて、同じ生活を繰り返してあげること。」保健師さんからは「集団の中で学ぶことも多いから集団で遊べるような場所に行ってみては?」とのことでした。

もう言われるがままに、週に一回ふれあいセンターで開催されている子育て広場や、保育園の支援センター、地域の親子クラブにも加入しました。予定がない日は公園や散歩等と、出来ることはしようと必死でした。でもどこに行っても、集団に慣れていない為か、友達に手が出てトラブルになってしまったり、物への執着で癇癪を起こしたり、その場で落ち着いて過ごせず動き回ってばかりで、全く手応えはありませんでした。

今思えば息子は何も悪くなく親の都合でしかなかったのですが、私自身が、他の子と上手く遊べないことや、他の子は出来るのに…と比べてしまうばかりして、息子に「ダメ!」「何でそんなことばっかりするの!」と息子の気持ちを全く考えることも出来ず、息子の話を聞くこともなくひたすら怒るばかりしていました。少しずつ周りに迷惑をかけてしまうから…と人の多い場所や、人と触れ合うことを避けるようになり、家や人の少ない公園でひたすら妹の面倒を見ながら息子と遊ぶ生活を続けていました。でも、焦りや不安から息子のする一つ一つの行動に手や口を出していて、本当にお互いに息が詰まり息子と一緒に泣くばかりの日々を過ごしていました。

そんな時に親子クラブで知り合ったお友達が、もみの木の子育て広場に行き始めたとのことで、話を聞かせてもらいました。自然の中でのびのびと遊べる環境、親も子も一緒になって遊び、学び、皆で一緒に育ち合う所と話を聞いて凄く魅力を感じ、もしかしたらデイサービス(児童発達支援)もしているもみの木だったら、息子が息子らしく過ごせるのかもしれないと期待を持つことができ、すぐに連絡をしました。何ヶ月待ってでも通いたい!という気持ちで連絡させてもらったら、すぐに見学に行かせて下さることになり、1週間後にはデイサービスに通い始めることが出来ました。その時に初めて道が開けた気がして、凄く心が軽くなりました。

見学の時に初めてもみの木の門をくぐった瞬間、何ていい所なんだろう、と心打たれました。子どもたちが外で裸足のままのびのびと遊んでいる姿、砂場で大きなショベルを持ってお山を作っている姿、ピアノの音を聞き皆が集まり、自然と始まるリズムあそび。そして大きく切られた野菜やそのままの形の魚、お肉が印象的な給食!全てが魅力的で、ここでなら変われる!と確信出来ました。

でも、初めは靴を脱ぎ裸足で過ごすことを嫌がったり、集団の環境に興奮し、友達に手が出てしまったりといつもの息子の姿しか見られず正直焦りました。でも保育士の先生方が「息子さんはこちらで見るのでお母さんは妹さんとしっかり関わってあげて下さい。妹さん自分を見てくれていないのが伝わってとても不安になっていますよ。」と言って下さりびっくりしました。今まで息子のことに必死で、正直息子のことばかりしか見えていなくて、妹はいつも付き添い。兄の生活に付き添って良い子で待ってくれているという生活でした。もみの木で初めて娘と二人の時間を持てて、ここでは娘は娘として、とても嬉しそうに遊んでいる姿に驚き、今までのことを反省しました。娘と一緒に楽しそうに遊んでいると、自然と息子も一緒に砂場で遊んだり、リズムあそびをしていくようになりました。

日々通っていく中で自分を見てくれていると娘の気持ちが安定し、泣くことが少しずつ減っていったからか、息子の気持ちも安定し、少しずつ生活に慣れ、遊びこめるようになってきました。

でも給食は息子にとって大きな課題でした。今まで息子の好きな物、よく食べるもの中心な食事だったので、とても苦労しました。初めは席に着くまでに一時間近くかかり、やっと座れても全く手をつけず。先生方が本当に根気強く、落ち着いて座って、何でも食べる!ことに付き合って下さいました。家でももみの木の食事となるべく変わらない生活にし、毎日毎食、何でも食べる!ことを大切にしました。

先生方の根気強い対応で、息子も少しずつ座ることが出来るようになり、集団の中でも落ち着いて何でも食べられるようになっていきました。

今通い始めて約半年。息子は驚く程に成長しました。朝起きて準備をしたらもみの木に行き、一日をもみの木で過ごす。安定した生活と、遊び、食事、睡眠を続けていくことで表情がぐんと豊かになり、言葉も増えてきました。以前は泣くことしか表現方法がなかったのが、今は自分でやりたいこと、やりたくないことを自分なりの言葉でしっかり伝えてくれるようになりました。

他にも、思うようにいかないと癇癪を起こしていたのが、泣いたとしても少しずつ自分で気持ちを切り替えれるようになり、他のことで妥協できるようになってきました。自分の許せる範囲が広がったからか、先生やお友達と関わって遊ぶ姿が見られたり、家庭では妹とよく遊ぶようになりました。

今まではテレビやDVDだけの生活だったのが、自然の花、草、木に目を向けられるようになり、一緒に散歩をすると「お花、綺麗ね~!」とプレゼントしてくれたり、動物を見ると「ご飯あげる!」と率先してお世話をしようとします。こんな息子の姿を見られるなんて想像もしていませんでした。

私自身もデイサービスに通い始めて同じ境遇のお母さん方との出会いがとても励みになり日々話をしたり、相談できることでとても支えられています。それに、子育て広場のお母さん方との出会いで、子育てについて一緒に考え、学ぶことでとても成長させてもらっています。旦那からは息子もとても成長したけど、何よりも私自身が変わったと言われます。もみの木に通い始める前は、子どもは自分が守らなきゃ!私がやってあげなくちゃ何も出来ないと勝手に決めつけていましたが、「子どもは自分の「物」ではない。小さくても一人の人間として尊重し、向き合って話をしながら共に成長していく」ということを、もみの木で学ぶことが出来てから、息子や娘を見る目が変わりました。

子どもは自分が思っている以上に逞しく、頼もしくて、日々成長しています。その成長に気づけるようになりとても子育てが楽になりました。先生方からは、「子育ては一人じゃ出来ない。沢山の人の手を借りて、親子で育ちあうもの。」という言葉を言ってもらい、とても救われました。孤独だった子育てが、一人で頑張らなくていい、手を借りながら子どもも自分も少しずつ成長していけばいいと思えるようになり、重かった肩の荷が降りました。

私が子どもに出来ることは安定した生活を守り続けてあげること。共に遊び、学び、育ちあっていくことだと気付きました。

息子はもみの木の生活で、昨日まで出来なかったことが今日は出来たりして、驚かされるくらい日々成長させてもらっています。今後も発達はゆっくりでも、息子のペースでの成長を見守りながら、もみの木で親子共に育ち合っていきたいです。

これからの息子の成長もとても楽しみにしています。