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デイサービスもみの木児童発達支援を利用して

  • 保護者の声

N・H(母親)

UPDATE:2016-02-13

息子が「広汎性発達障害」と診断されたのは、4歳の夏のことでした。

3歳児検診で、最初の身体測定から大泣きし、内診前に服を脱がせれば、また大泣き・・保健士さんとは目を合わせず、「我が強い子ですね。お母さん、大変でしょう?」と言われ「発達専門の先生が来られてますから、話をしてみますか?」と勧められました。

言われるまま、その先生と話してみると、「外遊びが少ないですね。体格いいのに、いつも何してるの?」と言われ、1歳の下の子と一緒に車に乗せ、あちこちの公園に行ってみたけど、突然、私はご飯が喉を通らなくなり・・なぜ、泣いているのか、なぜ私から離れてくれないのか、分かりませんでした。

4歳児検診をかかりつけの小児科で受けた時、今まで入った事の無い部屋に通されて、見たことの無い機械で看護婦さんが目の検査をしようとしたとたんに大泣き。私のことを噛みました。その様子を見ていた先生から・・「友達と上手に遊べていますか?発達の検査を受けてみますか?」

あぁ、2回目だ・・受けてみよう。その場で主人に電話し、発達検査を受けられる病院に紹介状を書いてもらいました。

息子は、3,558g、頭が少し大きかったようで、分娩台の上で「赤ちゃんの頭の位置が悪い」と何度も私が体勢を変えながら、最後は先生にお腹を押してもらってそれでも元気に産声を上げて産まれました。夜中の出産だったので、私は記憶がありませんが、出産後私の胸に抱かれたときには、おっぱいを飲もうとして祖父母を驚かせたそうです。

寝たと思って置くと、すぐに泣いたりする子ではありましたが、初めての子だから、周りが静かに、と気をつかいすぎだとか、こんなものだと思っていたのですが・・

1歳~2歳になり、いろんな遊びが出来るようになった頃、「あれ?」と思ったのは、もっと母親と子どもっていろんなやり取りをしながら遊べると思ってたのに、息子は私とやり取りしながら遊ぶより、1人で遊びたがる。気に入ったDVDを何時間でも観る。でも私が側にいないとダメ・・。

子育てってもっと楽しいと思っていたのに、主人や義母が仕事に出かける度に言う何気ない「おられぇよ。」という言葉で余計に家に息子と二人、閉じ込められたような気がして、息子が遊ぶのをただただ側で見ている日々が続きました。

地元の親子クラブに入って、公民館での行事などにも参加しましたが、息子はいつも私の膝の上。周りからも「Aくんは、いつも膝の上ってイメージがある」といわれるほど。どうして私から離れてくれないのか。みんなと同じように遊んでくれないのか。このままで幼稚園に行けるのか、不安な毎日でした。

 

結局、発達検査を受けた結果は「始めての場所に対する不安が強く、コミュニケーションもやや一方的。」という広汎性発達障害でした。

それから、言語聴覚士の先生と1対1の「療育」が始まりました。

まずは場所に慣れる事。先生に慣れる事。そして、先生と決めた遊びを順番にやっていく。

かるたやパズルで語彙の認識を確認したり、ゲームを使って他人と一緒に遊ぶこと、

順番やルールの理解など。狭い部屋のなかでの「療育」を週1回、1時間、5回受けた頃、「幼稚園入園を見越して、集団に慣れた方がいいので、集団で療育を受けられる場所を探してみてはどうですか?」と先生に言われ、福祉事務所や岡山市の相談機関ひか☆りんくに問い合わせをして、集団で療育を受けられる場所を探しました。

まずは家に近い場所から電話をかけてみて、見学の予約を取りましたが、定員がいっぱいで、見学すら出来ない場所がほとんどで、実際に見学したのは2箇所だけ。でも、どちらも雰囲気が暗く、とても通わせたいと思える様な所ではありませんでした。そこでひか☆りんくから送ってもらった資料の中で、気にはなっていたけど、遠くて後回しにしていた「デイサービスもみの木」に電話したのです。

 

もみの木のデイ担当の先生に事情を説明するとすぐに、「じゃあ、見学に来ますか?」といっていただきました。あの時の救われた気持ちは今でも忘れられません。

初めて見学に行ったのは12月末・・ホールでリズムを見学しました。子どもたちが半袖半ズボンでほふく前進してる!!!!!衝撃的でした。出された給食は、大人でも口いっぱいになるほどの大きさのレンコンが入っていて、しかも堅い!こんなものを子どもが食べられるんだろうか。野菜はイモ類以外、「口の中がガジガジして嫌だ」と食べなかった息子は、ほとんど手をつけられず。さらには子どもたちが12月にもかかわらず、外でお風呂に入っているいう驚くべき光景を見ました。

それでも、息子と私だけではもうどうしようもないと感じていたので、通所デイサービスで通うことにしました。

初めは、1つ下の2歳児クラスの子ども達と関わりながら、園に着くと私も裸足になり、リズムをしたり探検に出かけたりしました。最初のうち息子は、リズムも座ってみているだけ。そのときに言われたのは「お母さん、うちの子は大丈夫だろうかって顔で子どもを見ないで、お母さんが楽しく遊んでいれば、子どももついてくるからね!」

少しずつ生活に馴れ、給食も保育士に促されながら口に入れ、吐き出しながら飲み込みまた吐きだしながらやっと飲み込む・・・最初はそんな姿でした。そんな様子を見た保育士に「お母さん、離乳食でちゃんと固さのあるもの食べさせた?」と指摘されました。ズバリでした。私はいつまでも柔らかいおかゆを食べさせ、野菜も柔らかいまま食べさせていました。母親の私に対してこんなことを言ってくれる所は今までいなかった。泣く息子を見るのは辛く私も泣きましたが、少しずつ生活、人に馴れ、私から離れて笑顔で遊ぶ姿もみられる頃、自分で食べるようになってきました。家でも好きなものばかりにならないようデイサービスと変わらない食事を心がけました。

主人と相談し、心配をかけるからと、祖父母達には息子が発達障害で、療育を受けていることを知らせないことにしていたので、病院や外で息子に騒がれ、噛みつかれ、しんどい思いをしているのは私ばっかりだ。と1人でがんばり過ぎて、2歳になる下の子にもまだおっぱいを飲ませていて、へとへとでした。

 

最初は、ただ見ているだけだった食後のお風呂。まさか、息子は入れないだろうと思い込んでいました。ところが、回数を重ねるうちに、足だけ入ってみると言う様になりました。信じられませんでした。ここに来たら、何かが変わるかも・・そう思いはじめました。

通い始めて丸一年が経ち、思うことは、息子は出来なかったんじゃなくて、出来る時期がみんなと違っただけ。そんなの当たり前ことのようですが、以前の私に見えていなかった事が、ここに来てたくさん見えてきました。

見通しの立たないことが不安で、何度も時間を聞いてきたり、今日はどことどこに行くのか聞かないと気がすまない。いつも行く場所へ違う道を通っていくと、「なんで違う道なん!」と怒る。それらは、夜8時に寝て、朝6時に起きる。朝食を食べて、何時には家を出て、もみの木へ行って思う存分遊ぶ。そんな規則正しく、見通しのある生活をすることで、すぐに解消されました。

もみの木での遊びは、リズム、大きなシャベルを使っての穴掘り、畑を耕し、種を植えて、収穫、自分達で調理して食べる。裏山への探検。時にはのこぎりを持って木を切り、仲間と協力して運ぶ・・。息子にとってはこれらの遊びが大好きで、得意だったので、早く、もみの木に慣れることができたのかもしれません。

もみの木に来て、息子に出来ないこと、苦手なことがあっても、いつか、息子なりに出来るようになる。と待てるようになりました。出来ることや、良いところにも目を向けられるようになりました。育児書や発達障害の本などの情報に振り回されず、目の前の息子をちゃんと見て、受け止める。どうしたいのかを息子と一緒に考えることで、問題が起きても、解決していけるようにもなりました。

それまでの私は、「こうしないといけない!」と思って、息子にもそうさせようとばかりして、私はこうして欲しい、という自分の気持ちを伝えることもなく、「何でできないの!」と一方的に叱り飛ばすことがほとんどでした。不安が強い息子を、私から離そう、離そうとすることで、息子を余計に不安でパニックにさせ、離れられなくさせていたのは、他でもない私自身でした。

病院の診察が不安で、汗だくになって泣き叫ぶ息子を抱きかかえながら、初めて「息子は発達障害で診察が苦手なんです。」と診断名を口に出して周りに伝えた日、私も涙が止まりませんでした。診断から1年が経っていました。医師はすぐに「お母さん、大丈夫よ」と言ってくれました。困っているのは、息子本人だということに気がつくのに、1年かかりました。

いま、息子は年長になり、「今日は○○をするから、早く行って、早く雑巾がけも終わらせる!」と自ら、もみの木に行きたいという気持ちを持って過ごしています。

もみの木に通って、息子にも、私にも、たくさんの仲間ができました。大変なのは私だけ。と思っていたけど、子育てってみんな、大変!「ま、いっか。」と思って、力を抜くところは抜く。寝る事、食べる事、遊ぶ事。ゆずれないところはゆずらない。親として大切にすべきことにも気づけました。

親の都合で車ばかり乗せ、子どもが好んで食べるものを食べさせ、家の中でTVやおもちゃに囲まれた生活をもし続けていたら・・息子はこんなにも変わることは無かったと思います。「変わった」のではなく、“泣く”という表現方法から、自分の思いを話せるようになり、息子が息子らしく「ありのままの姿」でいられるようになった。と思っています。

子どもは仲間の中で育つ。どの子も育つ道は同じ。

毎日の雑巾がけ、リズム、起伏のある園庭での生活でどんどん体力をつけ、体を動かせる喜びを感じながら、お迎えまで仲間とめいっぱい遊ぶ息子が私は大好きです。

悩んだ時間も、もみの木で出会った仲間達も、私達親子の宝物になりました。

 

N・H(母親)